公募展出展作品紹介 『白鴉』
カラスというと、どちらかといえば不吉だとか怖い、ごみなどを荒らす迷惑ものといったネガティブなイメージがありますよね。
ですが、実はカラスが古来より吉兆の鳥として伝えられているのをご存じでしょうか。古事記や日本書紀では、天照大神に正しい道を指し示して先導する案内役として描かれていますし、海外でも神の使いなどとして伝えられてきたのです。
ちょっと意外ですよね。
実は以前、我が家のウッドデッキにハイタカ(多分)が脳震盪を起こして倒れていたことがありました。身動きひとつしないので死んでしまったのかとハラハラしたんですが、目がちょこっと動いていて。
そこで、慌てて分厚い手袋をはめてそっと抱き起こしそっと撫でさすってみたり。猛禽類を触って、じっくり間近でみる機会なんてそうそうないのでかなりドキドキしました。
その時のぬくもりやじっくり見るとかわいいお顔とか、立派な爪や美しい羽根が今でも忘れられません。
それ以来、あまり得意ではなかった大きめな鳥もそれほど嫌いではなくなりました。
人は、先入観や与えられたイメージでものを見がちです。
カラスも、まるで人間にとって害のある存在で嫌われ者のように扱われていますが、それは植えつけられた印象なのでしょう。もちろん好き嫌いはあるでしょうが、じっくり見てみるととても美しくてかわいらしい姿をしています。
身勝手なイメージや思い込み、価値観は、時に人の目を曇らせるものです。
これまで当たり前のように信じてきた価値観や生き方が問い直される、今の時代。
こんな時代だからこそ、自分の中にある先入観や誰から与えられたのかもわからない古いイメージを捨てて、まっさらな気持ちで目に映るものをありのまま感じてみる。
この白鴉を通して、そんなことを感じていただけたらいいなと思っています。
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