新作『祈りの歌』のご紹介
制作途中で長らく悩んだまま止まっていた作品が、ようやく完成いたしました。もうかれこれ、半年くらいは経つのではないかと……。進めては止まり、時に戻り。ようやくお披露目できて、ホッとしました。
gallery hydrangea様での企画展が4月、6月と続きますので、その前に間に合って良かった……。もう少し制作のペースを上げたいなと思いながらも、ついつい時間をかけてしまいます。時間をかけたからといって、いいものが仕上がるとは限らないのですが。
正面の台座には、ドラゴンブレスのカボションを使用しています。光の入り方や見る角度によって青白くきらめいて、幻想的でとても好きなのです。ドラゴンブレスには赤いものと青いものがありますが、青の方がより気に入っています。
専用の紙箱付きで、minneで販売いたします。
どうか良きご縁をいただけますように。
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『祈りの歌』
人々の記憶から、とうに忘れ去られた場所――。
地面のそこかしこから伸びる木の根が、足元で小さな乾いた音を立てる。
祈りに訪れる者など、もはやない。
世界の終末は決まっているのだ。
もう揺らぐことのない、あらがいようのない現実。
皆終わりまでの日を数えながら、息をひそめて嘆き悲しむだけ。
けれど、本当にそうだろうか。
これは、決して覆らない定められた運命なのだろうか。
古の人々が遺した祈りの歌にわずかな望みを託して、巫女は神殿の祭壇前に立ち、声高らかに歌い上げる。
世界に光をもたらす、古い救いの歌を。
もはや皆の記憶からとうに消え去った、祈りの歌を。
世界に光を。
憂いに沈む皆の心を明るく照らす、光を。
朽ちかけた神殿に、巫女の歌声は高く遠く、どこまでも響く。
祈りの調べに、希望と願いを乗せて。
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主な材料:石塑粘土、木材、ドラゴンブレスカボション、チェコビーズ、銅線他
※付属品:箱(紙製)
本体サイズ:高さ約27cm×幅17cm×奥行16cm
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